2025-06-16

第1回 障害児入所施設 検討会

  5月21日、こども家庭庁は「第1回 今後の障害児入所施設の在り方に関する検討会」を開いた。入所施設については、別の検討会も進行中だが、これは子どもの施設に特化して検討する。

 委員からは、「家族の維持、安心した生活には、短期入所の機能がある入所施設が必要だ」、「5年前の検討会でも挙がった論点、障害児グループホームについて議論したい」、「地域医療・介護は、在宅で生じるニーズに応え切れていない」、「施設サービスと地域サービスが併用できない」といった意見があった。

 検討会は、ワーキングチームを作り、今夏に障害児入所施設の全国調査を行う予定だ。2026年3月頃に報告書を出す。障害児⼊所施設に⼊所する子どもの状況、施設での⽀援の状況、求められる施設の役割などについて全国の状況を把握し、今後の障害児⼊所施設に係る施策検討のための基礎資料とするという。

 次回は、6月25日。


【障害児入所施設の概要】(配布資料から)

・定義

「障害児入所施設に入所する障害児に対して、保護、日常生活における基本的な動作及び独立自活に必要な知識技能の習得のための支援を行う。」

(医療型の場合は、これに加え「治療」)


・数(2023年4月)

福祉型障害児入所  施設数 240施設 現在員数 5651人

医療型障害児入所  施設数 256施設 現在員数 2784人


・福祉型の推移(資料の抜粋)

・入所理由。措置では、福祉型・医療型ともに虐待(疑い含む)、保護者の養育力不足が多い。契約では、福祉型では、保護者の養育力不足が多く、医療型では、その他が多くなっている。

なお、保護者の養育力不足には、障害の状態により、家庭での養育が困難という場合も含まれていると考えられる


2025-06-06

調査研究の中身を書き出してみた(地域移行も踏まえた障害者支援施設の在り方)

 厚生労働省は、2024年11月から2月にかけて、障害者支援施設(入所施設)の、全国調査を行った。内容を私流に整理してみた。別紙「調査研究 事例」では、インタビュー結果が記載されいる。入所施設の代替として、グループホームが期待されている。当事者の葛藤がわかる。

調査は、以下のウェブページの、上から3ばんめにあります

「障害者の地域支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る調査研究」

https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/track-record/welfare-promotion-business2025.html

(数字は間違っているかもしれません)

  • アンケートは、2525施設に配り、1173施設から回答。有効回答率は46.5%(図表13)

利用者について
  • 男女比は、6対4(現在の利用者、新規利用者、退所者とも同じ傾向)(図表47)。

  • 現在の利用者の年代は、次の通り(図表48)。18歳未満:21人、18歳~19歳:252人、20代:2,964人、30代:5,541人、40代:10,278人、50代:15,968人、60代:12,801人、70代:7,507人、80歳以上:1,876人

  • 新しく入った利用者の年代は、次の通り(同)。18歳未満:23人、18歳~19歳:168人、20代:390人、30代:452人、40代:761人、50代:1,327人、60代:850名、70代:268名、80歳以上:84名

  • 退所者の年代は次の通り(同)。18歳未満:4人、18歳~19歳:35人、20代:168人、30代:188人、40代:423人、50代:874人、60代:1,015名、70代:751名、80歳以上:334名。退所後の居住の場について、「死亡」が38.1%、「病院」が22.1%、「地域生活移行」が16.2%(図表61)

  • 入所理由。「入所施設以外の他の選択肢がなかったため」が25.4%、「常時介護が必要重度障害者で有るため、家庭での支援が困難」が24.2%、「家族の高齢化や疾病により、家庭での支援が困難」が21%(図表59)

  • どのくらい施設にいるか(在所期間)。5年未満:11,094件(19.9%)、5年~10年未満:7,961件(14.2%)、10年~15年未満:7,263件(13%)、15年~20年未満:6,413件(11.5%)、20~25年未満:5,635件(10.1%)(図表56)

日中活動について
  • 日中活動について、「居住する建物内」が80.2%、「敷地内」が14.1%(図表66,57,346人中)
施設について
  • 入所できる人数。50~59名が27.3%、40~49名が24.9%。定員削減を聞くと、「これまでと変わらない」が48.6%、「現在、最も少ない」が30%()

  • 財政状況は「黒字が続いている」が69.1%、「黒字と赤字を繰り返している」が15.7%(図表24)

  • 居室形態。個室のみが26.8%、1室つき複数のベッド(多床室)のみが14.5%、個室と多少室の両方ありが58.6%(図表26)

  • 同一所在地で実施しているサービスは、短期入所(97.3%)、入所支援(81.4%)、生活介護(77%)。(図表17)
  • ユニットケア。実施しているが18.2%、実施していないが81.3%。各ユニットの人数は「11人以上」が50.7%(図表29,30)。

地域移行について

  • 地域移行を希望する人。なしが46.3%(1,172人中)。地域移行した人数は、なしが72.7%(1,173人中)(図表105)

2025-05-26

第1回 支援施設の在り方検討会

  5月26日、厚生労働省は「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」の第1回を開いた。傍聴はユーチューブで行われ、手話通訳と要約筆記がつけられていた。

 この日は、各委員は意見をそれぞれ発表した。「施設を改修したり増築するより、地域生活を充実してほしい」、「施設では自由に生活できない」といった意見や、「施設の手厚い医療がいる人が多い」、「グループホームで支援が足りないときに施設がバックアップすることも出来る」という実例紹介もあった。様々な発言はあったが、本人が希望するところが良いとする見解は共通していた。

 資料は以下のウェブページから観ることができる。次回日程は、後日発表される。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai_505916_00001.html


2025-05-18

厚生労働省告示523号

  障害者が、施設や家族同居ではなく、一人暮らしやパートナーと暮らしたいと思った場合、使える制度としては、重度訪問介護、同行援護、行動援護などがある。

しかし、これらの制度は法律的に原則、仕事や学校に使えない。障害者総合支援法では、介助が必要な重度障害者は仕事や勉強をしてはだめという。総合支援法の補足説明をする厚生労働省告示523号は、次のように規定されている。

 

重度訪問介護の中で居宅における入浴、排せつ又は食事の介護等及び外出 (通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除く。以下、同行援護・行動援護においても同じ)

 

 ただが括弧、されど括弧である。この括弧のせいで、数万人が労働や就学を奪われている。近年では他の制度で仕事・学校の介助が保証されることもあるが、住んでいる自治体によって使えなかったり、「働いた時刻とそれ以外の時刻を明確に申告しなさい」と言われたりする。そして、異なる制度のため、介助者の報酬も変動する。最近では、スキマバイトとか、副業とかが流行っているが、重度障害者にとって「活動して、その対価としてお金をもらう」行為は、とても憧れる。

 私は心臓が不調になる前は、「働きたいなぁ」「大学でスキルアップしたいなぁ」と思っていた。体調が戻れば挑戦したいと思う。しかしこの告示523号は大きな足かせとなっている。

 思えばこの文言さえなければ、私が学生の時(18歳~27歳)母親に付き添いをさせなくて済んだ。


2025-05-15

生産性について

 誰かが、重度障害児の安楽死について言っているみたい。

 私は、子どもが重度障害を持つ親の立場でないため、「絶対産み、育てた方が良い」と言えない。しかし、重度障害をもって40年間、生きてて良かったと思うし、もしこの社会が許してくれるのであれば、もう少し生きていたいと思う。

 確かにお金のことを考えれば、私を殺した方が節約になるが、人というのはすべて合理的でないとだめなのだろうか。社会の中に、非生産性の者も存在する状態が、のんびりしていて良いと感じる。みんな24時間、生産性を追い求めると疲れちゃうよ。

 「私は、非生産性の存在として価値がある」と言わない。しかし生きることを認めてほしい。何事にも遊びが必要かもよ。

偉そうに言ってごめんなさい