障害者が、施設や家族同居ではなく、一人暮らしやパートナーと暮らしたいと思った場合、使える制度としては、重度訪問介護、同行援護、行動援護などがある。
しかし、これらの制度は法律的に原則、仕事や学校に使えない。障害者総合支援法では、介助が必要な重度障害者は仕事や勉強をしてはだめという。総合支援法の補足説明をする厚生労働省告示523号は、次のように規定されている。
重度訪問介護の中で居宅における入浴、排せつ又は食事の介護等及び外出 (通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除く。以下、同行援護・行動援護においても同じ)
ただが括弧、されど括弧である。この括弧のせいで、数万人が労働や就学を奪われている。近年では他の制度で仕事・学校の介助が保証されることもあるが、住んでいる自治体によって使えなかったり、「働いた時刻とそれ以外の時刻を明確に申告しなさい」と言われたりする。そして、異なる制度のため、介助者の報酬も変動する。最近では、スキマバイトとか、副業とかが流行っているが、重度障害者にとって「活動して、その対価としてお金をもらう」行為は、とても憧れる。
私は心臓が不調になる前は、「働きたいなぁ」「大学でスキルアップしたいなぁ」と思っていた。体調が戻れば挑戦したいと思う。しかしこの告示523号は大きな足かせとなっている。
思えばこの文言さえなければ、私が学生の時(18歳~27歳)母親に付き添いをさせなくて済んだ。